ヘッセの「少年の日の思い出」をドイツ語で読みたい

ドイツ語は分からないけど。『そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな』

改めて、「少年の日の思い出」を原著で読む

気づけば前回の投稿から2年経っていました。私はドイツ語とは無縁の普通の会社員なので、この2年間、ドイツ語をまったく勉強していません。でも、ヘッセの「少年の日の思い出」を原著で読みたい・・・という思いは変わってはいないのです。

 


さて、前回の記事では「少年の日の思い出」と「クジャクヤママユ」は微妙に異なることを説明しました。私がここまで訳してきたのは原著「クジャクヤママユ」でした。原語ではDas Nachtpfauenauge [ダス ナフトファウエナウガ]です。

しかし、皆さんが中学の頃の国語の教科書で読んだのは、これをヘッセ自身が改稿した「少年の日の思い出」なのです。原語ではJugendgedenken[ユーゲントゲデンケン]です。

 


どう書き直したかというと、私もこれから読むのでわからないのでとりあえず調べたのですが、金沢大学の佐藤文彦先生の「ヘッセ『少年の日の思い出』(1931) : 『クジャクヤママユ』(1911)との異同をめぐって」という論文によれば、話の筋に大きな差はないそうです。「少年の日の思い出」への書き足しはほとんどなく、削除や書き換えを行ったようです。

 


ヘッセがDas Nachtpfauenaugeを書いたのは1911年、それをJugendgedenkenに改稿したのは1931年。このときに、Das Nachtpfauenaugeの1文目に出てきたハインリッヒ・モーアなる人物の名前を削除したのです。どうりで、こんな人物出てきたっけ?と思ったわけです。

 


余談ですが、上記の佐藤先生の論文を読んでいて特に面白い記述が、

「ぼく」がクジャクヤママユの捕獲にとどまらず、破壊まで犯したことを知ったエーミールは、「そうか、そうか、つまり君はそんな奴なんだな」という、(少なくとも日本の中学生の間では有名な)せりふを発する。

とあります。佐藤先生、そうそう、そうなんですよ!日本の中学生の間では有名、その通りです。私も中学時代にこの言葉を何度友人に使ったかわかりません。

 


 私が国語の教科書で「少年の日の思い出」を読んだのはもう15年以上も前ですが、今でも中学国語の教科書には採用されているそうです。「美に魅せられた少年が盗みを犯してしまう、人間存在への本質的な問い」を扱っているとかなんとかいう理由で、古典的な作品として今でも読み継がれているそうです。

 


 もしかすると、「少年の日の思い出」の中間テスト対策としてここにたどり着いた中学生の皆さんもいるかもしれません。でもテスト対策は期待しないでください。今はただドイツ語とは無縁な会社員生活を送っている筆者が、ヘッセの名作を原著で読みたいなあと単純に思っている気力だけで書いているブログです。いつ完遂するかわかりませんし、完遂するのかすらわかりません。3年以内には読み終えたいなと思っています。