ヘッセの「少年の日の思い出」をドイツ語で読みたい

ドイツ語は分からないけど。『そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな』

Day1 洗練された名作の書き出し

Mein Gast war von einem abendlichen Spaziergang heimgekehrt und saβ nun bei mir im Studierzimmer noch beim letzten Tageslicht. 

 
 文学作品は書き出し(冒頭文)の印象が大事ですから、きっとヘッセもこだわったことでしょう。初版ではMein Gast(私の客)の名をハインリッヒ・モールとしていましたが、ヘッセは改稿した際にはそうした細部は省略しました。より洗練した冒頭文をめざしたのでしょうか。この一文で、話し手の状況がよくわかります。
 筆者と「客」は、さきほどの夕方の散歩から帰ってきたばかりです。書斎で少し話をしましょうか、とお互い座って思い出話を始めようとしているところです。この後の文章で明らかになりますが、筆者も蝶のコレクションを持っており、それを見た客人が「少年の日の思い出」話を始めます。この物語の主人公、すなわち「ぼく」というのはこの客人で、筆者は彼の話を書き起こしているのです。
 
 
発音
マイン ガスト ヴァー フォン アイネム アーベントリッヒェン シュパッツィアガング ハイムゲケーアト ウント サス ヌン バイ ミア イム シュトゥディアッツィマー ノッホ バイム レツウン ターゲスリヒト
 
音声で聞いてみましょう。
 

★音声データ作成はFree TTSを利用させていただきました。https://freetts.com/

 
 
意味解釈

 

【独】①Mein Gast war von ②einem abendlichen Spaziergang ③heimgekehrt ④und ⑤saß ⑥nun ⑦bei mir im ⑧Studierzimmer noch beim ⑨letzten ⑩Tageslicht. 

【英】①My guest ③had returned from ②an evening walk and was ⑥now ⑤sitting  ⑦with me in my ⑧studyroom in the ⑨last of ⑩the daylight.

【日】①私の客②夕方の散歩から ③帰って④そして、⑨残りの ⑩昼間の明るさの中で ⑥今はもう 私の ⑧書斎で ⑦私のそばに ⑤腰掛けている。

 
 
ポイント

 

③のheimgekehrtは「家に帰る」という意味のheimkehrenの過去分詞形です。ドイツ語の動詞も、英語と同じように時制によって変化します。

次のように語形変化するそうです。ドイツ語の動詞の原形はすべて-enで終わるのが特徴なんですね。

 原形    現在分詞   過去分詞

heimkehren - heimkehrend - heimgekehrt :帰宅する